薄明かりと青いトンボ
秋篠宮家 悠仁さま

薄明かりと青いトンボ

薄明かり黄昏とんぼは橋のうへ青くつきりと俊敏に飛ぶ
幼少期から自然に親しみ、特にトンボの研究に情熱を注がれてきた悠仁さま。2023年には国立科学博物館の研究者らと共に学術論文「赤坂御用地のトンボ相」を発表されるなど、その観察眼は専門家の域に達しています。今回の歌は、単なる風景描写ではなく、長年の観察と研究に裏打ちされた「発見の喜び」が込められています。
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マルタンヤンマとの出会い

歌に詠まれた「黄昏とんぼ」は、マルタンヤンマ(Anaciaeschna martini)を指していると考えられます。このトンボは黄昏飛翔性(たそがれひしょうせい)を持ち、日没前後の薄暗い時間帯に活発に活動します。オスは成熟すると複眼と腹部が美しいコバルトブルーに染まりますが、その色は非常に鮮やかで、薄明かりの中でも「くっきりと」青く輝いて見えます。

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「青くつきりと」の表現

「つきりと」は「くっきりと」の歴史的仮名遣いです。薄暗い夕暮れ時(薄明かり)だからこそ、マルタンヤンマの放つ青い輝きが際立って見えた瞬間を捉えています。科学的な生態観察に基づきながらも、その瞬間の感動を「青くつきりと」という詩的な言葉で表現された点に、悠仁さまの感性が光ります。

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赤坂御用地の自然と研究

悠仁さまは2012年から2022年にかけて赤坂御用地のトンボ相を調査し、絶滅危惧種を含む多様な種が生息していることを明らかにされました。この歌の舞台となった「橋のうへ」も、日々の調査フィールドの一つであり、慣れ親しんだ場所での予期せぬ美しい出会いが詠まれています。